国産ジーンズ発祥の歴史|日本初ブランド「CANTON」が始まり

1890年、デニムジーンズは鉱山で働く作業員のワークパンツとして、アメリカで誕生しました。

今ではファッションに欠かせないアイテムに進化し、「メイドインジャパン」は海外から高い評価を得ています。

「国産ジーンズの発祥地は?」

「誰が最初に作ったの?ブランド名を知りたい」

「海外から注目されるメイドインジャパンの魅力って?」

長い年月をかけ、国産ジーンズは多くの人に愛用されるようになりましたが、その発祥や歴史、クオリティの詳細については、広く周知されていないのかもしれません。

ちなみに日本初のデニムジーンズは、

1965年、岡山県の「マルオ被服(BIG JOHN社の前身)」が手掛け、ブランド名は「CANTON(キャントン)」です。

当記事では、国産ジーンズの聖地「岡山県倉敷市」にゆかりのある著者が、その歴史や魅力を深掘り。

また、メイドインジャパンの原点となった「CANTON」と「BIG JOHN」のアイテムをご紹介いたします。

ブランドアイテムをすぐご覧になりたい方は、こちらをクリックすると指定箇所へ移動できます。

国産ジーンズ発祥の歴史はもちろんのこと、勤勉な日本人だからこそ成し得る精巧さを知ることで、メイドインジャパンへの信頼や愛着をより深めていただけるはずです。

熟練の技法がつまった国産ジーンズを体感いただき、ジーンズライフをより快適にしましょう。

当サイトは景品表示法に基づき、PR、およびプロモーションが含まれております。

CONTENTS

国産ジーンズの発祥|岡山県児島地域が発祥の理由

日本初の国産ジーンズは、岡山県倉敷市にある「児島地域」で誕生しました。

食品に伝統や産地があるように、ジーンズにも時代背景や土地柄に即した明確な理由が存在します。

ここでは、国産ジーンズが「なぜ児島地域で誕生」し、「ジーンズの聖地と呼ばれる」までに発展したのか、その経緯を探っていこうと思います。

それでは詳しく見ていきましょう。

理由①|繊維産業に最適な気候風土

かつて瀬戸内の小さな島だった「児島地域」は、江戸時代に干拓地として陸地化されていきました。

しかし、海水の塩分を含むその土地は米作に向いておらず、綿花栽培へ移行。

岡山は雨が少なく温暖な気候のため、それが功を奏し、綿花栽培や繊維産業が盛んになったのです。

江戸後期、繊維のまちとして発展する児島地域は、刀の下げ紐や下駄の鼻緒に使用する「真田紐」の生産を開始。
しかし、明治9年の廃刀令により、その需要は徐々に低下していきます。

そこで目を付けたのが、当時の履きモノに欠かせなかった「足袋(たび)」の製作で、生産量は日本一を誇りました。

理由②|児島職人に最適なアイテム

「足袋」の生産で勢いづく児島産業でしたが、日本人の生活に西洋文化が浸透してきたことで、「学生服」や「作業着」の生産に転換していきます。しかし、高度成長期に入り学生服の需要も減少。

時流に順応し、日本の産業を支えてきた児島地域をふたたび活性化させるには、これまでにない「新しいモノ」が必要でした。それが「ジーンズ」であり、繊維産業で培った職人力を発揮するには恰好のアイテムだったのです。

また、製作に必要な素材や技術がすべて地元地域に結集していたことからも、発祥地となった所以がうかがえます。

  • 繊維業に適した風土|岡山県
  • 熟練された縫製技術|児島地域
  • 藍染めの織モノ生産|備中地域
  • 日本初のデニム生地|倉敷紡績株式会社

繊維産業にとって恵まれた気候風土、時代の変化を生き抜く知恵、遺産や文化を受け継ぐ精神……。

これらひとつひとつに向き合い想いをカタチにする姿勢が、ジーンズ製作に欠かせない要素を生みだし「聖地」と呼ばれるまでに発展したのでしょう。

国産ジーンズの歴史|日本初のブランドと製作会社

ここからは、国産ジーンズの歴史の原点になったブランドと製作会社について解説していきます。

  • 日本初のブランド|CANTON
  • 日本初の製作会社|マルオ被服(現:BIG JOHN)

日本のジーンズ発祥が岡山県であることは、長い年月をかけ浸透してきた感もありますが、第一号となったブランドや製作会社をご存じない方が多いのではないでしょうか。

国産ジーンズの起源に欠かせない要素ですので、ぜひこの機会に知っていただければと思います。

日本初のブランド|CANTON

いきなりですが、初代国産ジーンズのブランド名は「CANTON(キャントン)です。

1963年、大石貿易社がアメリカの「キャントンミルズ社」より生地を輸入し、国産ジーンズの開発販売を目指します。

大石貿易はリーバイスの輸入販売などジーンズブームの先駆けとなった総合商社で、1951年に創業されました。

キャントン社の生地を扱うことでブランド名を「CANTON」にしますが、名前の使用について争いとなり契約解消。

日本初のジーンズブランド「CANTON」は、わずか5年で幕を下ろすかたちとなりました。

誕生からまもなく姿を消してしまった国産初ブランドですが、2008年に転機が訪れます。

商標権を引き継いだ豊島株式会社が製造販売に踏みきり、CANTONデニムを見事に復活させたのです。

製造メーカーが変わったとはいえ、日本初のブランドはジーンズ愛好家から人気を博しています。

日本初の製作会社|マルオ被服(現:BIG JOHN)

初代国産ジーンズを手掛けたのは岡山県の「マルオ被服」で、ジーンズブランドの老舗「BIG JOHN」の前身にあたる縫製業者です。1940年、尾崎小太郎氏が倉敷市児島(旧児島市)に創業し、学生服や作業着を専門としていました。

大石貿易から「CANTON」の生産を請け負いますが、厚みが通常の2倍あるデニム生地の縫製やパーツの不足など、その製作は困難を極めました。しかし、数々の困難を乗り越えてきた児島職人の情熱やノウハウを最大限に発揮し、1965年、日本初のデニムジーンズをついに完成させたのです。

また、CANTONの製作に加え、アメリカの「コーンミルズ社」より生地を入手し、自社ブランドの開発も進めます。

このブランド開発がのちに広く知られるようになる「BIG JOHN」の始まりです。

自社ブランドの開発当初こそ、生地は輸入に頼っていましたが、1973年、岡山県の倉敷紡績社(クラボウ)が「日本初のデニム生地」を開発したことで、素材からパーツのすべてを純国産で生産できるようになりました。

国産ジーンズの原点|ブランドアイテムを紹介

国産の原点となったブランドアイテムをご紹介いたします。和の歴史がつまった逸品をお楽しみください。

各ブランド最下部の「もっとみる」ボタンより他のモデルもご覧いただけます。

CANTON

日本初のジーンズブランド「CANTON」が、後継メーカーの手によって復活。

ジーンズ愛好家なら、一度は穿き倒してみたいアイテムではないでしょうか。

古き良きアメリカンディテールの懐かしさを残しつつ、現代風に美しくアレンジされた作品になっております。

ジーンズをこよなく愛し、とことん追求したい方におすすめしたくなるブランドです。

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BIG JOHN(旧:マルオ被服)

日本初の純国産ジーンズを手掛けた「マルオ被服」の後身ブランド「BIG JOHN」。

その歴史と技法、ジーンズへの情熱は代々受け継がれ、今も大切に守られています。

BMXやスケートボード競技で採用されるなど、そのすぐれた耐久性や抜群の伸縮性は折り紙つき。

年間を通じ重宝できる履き心地を、ぜひ体感してみてください。

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国産ジーンズの魅力|ジャパンクオリティ5選

海外のジーンズ職人が勉強に訪れるほどのクオリティを誇る、国産の魅力について解説いたします。

長い歴史で培われた技術は、機能性や穿き心地にまで配慮され、今も進化を続けています。

職人が織りなす最先端の技術に触れてみましょう。

① 卓越した技術力

国産の魅力でまず外せないのが「卓越した技術力」です。

モノづくりへのこだわり、幾度も繰り返される研究成果がふんだんに詰め込まれています。

近年ではファストファッションの影響もあり、大量生産で個性を失したアイテムが散見されますが、職人の丁寧な手作業で製作された作品には、機械で表現できない繊細さや美しさが生まれるのです。

また、リペア能力も高く、破れや糸のほつれに修繕を加えることで、新たな魅力を有したジーンズに蘇らせます。

② セルビッチデニム

「セルビッチデニム」をご存じでしょうか?

セルビッチデニムは通称「赤耳」とも呼ばれ、旧式のシャトル織機にかぎり製作ができ、生地の端にほつれ止めを施すことで、耐久性アップを図る技法です。

必ずしも赤色が使用されるわけでなく、青糸や白糸が使われるデザインも存在します。

リーバイス501のヴィンテージでおなじみですが、日本では限られた職人だけが継承できる技術といえるでしょう。

③ 藍染めの美しさ

デニム最大の魅力は「染め」の美しさにあります。

」を使用する日本伝統の染色技法は、鮮やかな色合いと深みが特長です。

海外では「ジャパン・ブルー」と呼ばれ、イメージカラーとしても親しまれています。

また、染めの特長を最大限に活かすため、以下の技法を採用するブランドが多くみられるようです。

生地糸に綿糸を使用

ポリエステルだと、糸が浮くような感じになり縫製に不向きのため。

糸の中心部(中側)を染色せず「白」を残す

海外から高く評価される独特の染色技法です。
芯白」と呼ばれる糸を使用し、経年劣化の美しい色落ちを表現できます。

④ 世界トップクラスの加工

今では当然のように、デザイン性にすぐれた加工ジーンズに出会えます。

なかでも以下は、よく目にする加工技術といえるでしょう。

ストーンウォッシュ

軽石やセラミックを使用する技法で、ヴィンテージの風合いや、色落ちに個性を出すときに利用されます。

クラッシュ|ダメージ

個性的なデザイン、使い込んだ雰囲気を高めたいときに利用する技法です。

シェービング|ヒゲ

履き込んだ色落ちを表現でき、主にヒップや太もも、ひざなどに利用されています。

ちなみに世界ではじめてジーンズに加工を施したのは児島のジーンズで、その技術は今でも世界トップクラスです。

⑤ すべての工程を国内完結

倉敷紡績社(クラボウ)がデニム生地開発に成功したことで、素材やパーツはもちろんのこと、ジーンズ製作に必要となる全工程を国内で完結できるようになりました。

岡山県では各工程の専門業者が密に連携し合い、ハイクオリティな製品供給を行っています。

輸入ばかりに頼るのでなく、自国の生産技術を構築することで技法やクオリティに磨きをかけ、ユーザーからの信頼と安心、海外からの評価を高めているのです。

世界最高峰の国産ジーンズブランド

日本には世界トップクラスのジーンズを手掛けるブランドが数多く存在します。

そのクオリティの高さは、世界の名立たるハイブランドが生産を委託するほど。

国産の魅力にふれ、コーディネートや穿きごこちをさらに充実させましょう。

SPUTNICKS

レア体験|老舗ブランドでオリジナルジーンズを製作しよう

世界にひとつだけのジーンズを製作できる工房をご紹介いたします。ジーンズの聖地である岡山県児島地域の「ベティスミス|Betty Smith」が運営する体験プロジェクトです。

ボタンやリベット、革ラベルなどお好みのパーツを選択し、オリジナルジーンズをご自身で仕上げていきます。

東京にも恵比寿工房があるので、国産発祥の魅力を都会で味わえるチャンスです。

Betty Smith|ジーンズミュージアム & ヴィレッジ

〒711-0906 岡山県倉敷市児島下の町5-2-70 ベティスミス内

詳しくは「ジーンズ作り体験(こちらをクリック)」をご覧ください。

リアルなジーンズ製作をぜひ楽しんでみてください。貴重な体験が最高の思い出となり、記憶とジーンズに刻まれることでしょう。

2024年8月の情報をもとに掲載

ジーンズを洗うのNGは誤解が生んだ認識

ジーンズを長く愛用する秘訣は、雑菌の繁殖や汚れの浸透から衣類をまもること。

「ジーンズを洗うのNG」とは、もともと希少価値の高いジーンズに向け発信された情報なのです。

正しい洗い方をマスターすれば、色落ちや縮みを心配する必要はありません。

大切なジーンズを長く快適に穿きつづけるためにも、生地の健康を保ちましょう。

プレミアムスーツリセッター
「デニム」と「ジーンズ」は別モノ

デニムジーンズの呼び方は人によって様々ですが、その意味は異なります。

言葉として相手に伝わりはしますが、職業やシチュエーションによって恥ずかしい思いをするかもしれません。

言葉の意味を正しく理解し、明確なメッセージを相手に届けましょう。

メイドインジャパンを体感すると、海外ブランドに戻れない?

国産ジーンズの歴史や魅力をお伝えしてきました。

ポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • 発祥地|岡山県倉敷市児島(旧:児島市)
  • 歩み|綿花栽培に始まり、繊維産業で技術を磨き、純国産を可能にした
  • 日本初のブランド|CANTON
  • 日本初の製作会社|マルオ被服(現:BIG JOHN)
  • 魅力|世界トップクラスのクオリティ

ジーンズは輸入だけに頼ってきた日本が、世界をリードする純国産を生みだすまでに進化しました。

現代のジーンズはディテールやデザインだけでなく、素材や機能性、穿き心地、環境への配慮まで求められます。

そんななか、ジーンズのクオリティをここまで引き上げた日本職人の創造力には、本当に頭が下がる思いです。

世界には魅力的なブランドが多数存在しますが、メイドインジャパンの色合いやラインの美しさ、ストレスフリーの履き心地を体感してしまうと、海外ブランドには戻れなくなってしまうかもしれませんよ……。

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